共生社会の実現に向けた、リーダーシップモデルを形成
DCfILでは、過去の先人の創意工夫から学びつつ、現在の社会問題をデータサイエンスの技法でリアルに把握し、将来的に社会的マイノリティを含むあらゆる人にインパクトを与えられるようなモデルを確立することで、ダイバーシティとインクルージョンに関する実証実験を遂行する場を目指します。それは単に多様な人々それぞれが「一緒にいるだけ」にとどまらず、共に交流し、影響を与えあい、高めていけるような共生社会の実現に向けて、主導的に取り組んでいくリーダーシップを、具体的に提言できると考えられます。この方向性のもと、まず4つのテーマでプロジェクトをスタート。そして新たに5つのプロジェクトが加わった、合計9つのプロジェクトでより充実した取組に向けて活発化しています。
01
Leadership Research
国際的女性リーダーシップ
英語教育の方法論開発
研究目的
本事業は、国際的な場面で交渉・仲裁の役割を担えるリーダーシップ力とコミュニケーション力を身につけた女性を育成し、そのような人材を育むことのできるプログラムを策定することを目的としています。津田塾大学の創設者である津田梅子が、当時は困難を極めていた女性の社会進出の道を切り拓いてきたように、このプロジェクトを通じて、世界を舞台にリーダーシップを発揮して社会改革に貢献することのできる女性を育て、その実現のための実践的英語教育プログラムを確立し、社会の大きな変革を担うことの出来るより多くの女性を社会に送り出していきます。
研究内容
21世紀のグローバル社会を生き抜き、世界のダイバーシティに対応できるような英語を用いたコミュニケーション力、交渉力を育む教育を追求していきます。そのために必要となるのはそれぞれの文化的背景を踏まえた異文化に関する理解。すなわち地域・エスニシティ・ジェンダー・宗教など、さまざまな文化背景への理解を深めたうえで、相手の意見を尊重しながら国際的な交渉・仲裁の役割を担うコミュニケーション力を育みます。また国際的な教育プロジェクト開発研究を行い、カリキュラムを策定します。
具体的には、世界各地の大学やその他教育機関と連携し国際共通語である英語の教育方法論や教授法に関する情報を収集し、また英語教育を通してリーダーシップ教育ができるプログラムを確立します。
併せて、本学の教育の歴史(津田梅子、Anna Hartshorne、Alice Baconなど)から、人文系・社会系・理系教育における女性リーダーシップ教育の知見を抽出し、これからの国際的女性リーダーシップの姿と、そのための教育のあり方を探求します。
さらに、本学女性研究者支援センターにおいて女性の研究リーダーの育成に向けて様々なプログラム・事業を行ってきた実績を生かし、先行事例も積極的に活用していきます。
期待される成果
本事業を通じて国際的女性リーダーシップ英語教育の方法論とそのカリキュラムを策定し、実践に向けて取り組むことで、以下のような女性の能力育成が期待できます。
- non-violent communication力(compassionate communication)を中心に据えた、人々・コミュニティ・組織・社会・国などにおける交渉力(negotiation)、仲裁力(mediation)、リーダーシップ
- 国連等、国際機関で働くための実践的コミュニケーション力
- ダイバーシティに富む世界的背景に目を向け、実践的に人との交渉にあたれるような、英語による異文化コミュニケーション力
具体的な取り組み
Tsuda Outreach
「Tsuda Outreach」は、女性と子どもたちを取り巻く社会問題に取り組み、よりよい社会の実現に向けて貢献したいという思いから、 津田塾大学総合政策学部の学生を中心に発足しました。 本団体は、NPOと企業CSR、さらにNPOと学生をつなぐ橋渡し役となることで、双方が連携して社会貢献事業を創りあげることを目的に活動しています。
Tsuda Outreachのウェブサイトでは、様々なNPOへ調査・インタビューを行い、魅力を発信しています。
02
Data-Driven Policy Making and
Practical Education Program Development
データ活用型政策研究と
実践的教育プログラム開発
研究目的
政府や地方自治体、そして企業などにおいて、政策の立案や検証、意思決定への女性の参画は欠かせません。多様な環境の中で、多様な女性が活躍できる社会を創出するためには、女性の個人的な経験を頼りにするだけでは不十分です。そのためには、政府が公開する統計資料や地域で得られるさまざまなデータを客観的根拠として活用する能力や、現場に対する深い洞察をもとに課題解決を進める能力が求められます。こうしたことから、本プロジェクトでは、データ活用型社会において、ICTを活用し、社会的課題に対して政策を提言できる「データ活用女性リーダー」の育成を目指します。
研究内容
本プロジェクトでは、A 女性活躍のためのデータベース整備、B 産官学連携によるデータ駆動型の課題解決モデルの構築、C 実践的教育プログラムの開発、に取り組みます。
- 女性活躍のためのデータベース整備:女性等が直面する社会的課題に関わり、政策の根拠とされてきたデータのデータベースを構築します。そのターゲットは、政府の白書・審議会に掲載されている図表及びそのバックデータです。その上で、当該データベースを活用した社会的課題や対応する政策の検証手法も開発します。
- 産官学連携によるデータ駆動型の課題解決モデルの構築:自治体や企業と大学との連携体制をつくり、データ収集分析に基づいた社会的課題(地域経済活性化、地域ケア、多文化共生・国際化等)への処方箋の提案と実行に取り組みます。それを、「産官学連携によるデータ駆動型の課題解決」の実践モデルとして整理します。
< 連携事例 >
- 実践的教育プログラムの開発:A・Bの成果をふまえ、データの収集・分析、そして、それを政策提言に結びつける能力の育成を目標とする、実践的な教育プログラムの開発を進めます。最終成果として「データ活用型政策研究(Data-driven Policy Making)」のテキストを作成します。
期待される成果
- 女性活躍のためのデータベース整備
- 産官学連携によるデータ駆動型の課題解決モデルの構築
- データ活用型政策研究の実践的教育プログラムの開発
具体的な取り組み
白書・審議会データベース
キーワードで政府が公表する白書や審議会の図表を、横断的に検索できる便利なデータベースを公開しています。図表コンテンツは 3 万件以上におよび、図表の年次や出典統計名などもデータベース化しています。
また、公表されているバックデータへのアクセスも可能です。データの変遷を追える点から、教育・研究のみならず企業活動等にも活用いただけます。
詳しくは、下記リンクよりご参照ください。
03
Social Inclusion Research
社会的インクルージョン
研究基盤形成:
ロールモデルのための合理的配慮
研究目的
これまで本学が牽引してきたインクルージョン(福祉・教育・支援・男女共同参画領域)の主翼を担う調査・研究を行います。現在のデータサイエンス的分析も取り入れつつ、多様な視点と工夫によって超高齢化社会において増加するであろう障害者・児福祉領域の課題の解決を主導しうる、インクルーシブ・リーダーシップとして教育モデルや活動の基盤モデルを構築します。さらには世界に発信しうるブランドとして確立することを目指します。
研究内容
これまで本学は障害者の国際会議の日本代表や視覚障害者向け支援のリーダーなど、国際的インクルージョンのフロンティア・ランナーを輩出してきました。本プロジェクトでは、その実績を生かし、温故知新の観点から(1)「すべての人々を包摂できるように発揮されるリーダーシップ」と、(2)「これまで社会環境によって制約を受けてきた障害者・高齢者らが獲得しうるリーダーシップの力」の2面においてインクルージョンをリードする「変革を担う人材」を育成する教育モデルや、活動の基盤モデルを構築していきます。
さらに本学自体が「インクルーシブ・リーダーシップ」を発揮するための土台を構築。本学のインクルージョンな取り組みを支えてきた「インクルーシブ教育支援室(IES)」を中心としながら、研究力をさらに向上させます。具体的には
- ①インクルーシブ・リーダーシップを獲得したインクルージョン・モデルの歴史、社会調査によるレガシーの明確化
- ②「過去から現在までのインクルーシブ・リーダーシップ」典型例となるキーパーソンの予備調査と「合理的配慮」のための分析軸の整備
の2点に焦点を当てます。その後、これらを基に全国的なサンプリング調査やモデルとなるリーダーへのインタビューを実施し、研究を進め、各種イベントや講演会を開催し公表していきます。基幹となる既存4プロジェクトの中でも、特にインクルージョンを正面から担当する主柱として、本研究ブランディング事業内に関連するいくつかの研究プロジェクトをもち、その土台を提供していきます。
期待される成果
- インクルーシブ・リーダーシップのモデル化
- インクルージョンを牽引しうる「変革を担う人材」を育成するための教育モデルや、活動の基盤モデルを構築
具体的な取り組み
「学びの危機」:Counter Learning Crisis Project
新型コロナウイルスの影響により、休校や急速なオンライン化など、子どもたちの「学ぶ機会」が制限されています。「学びの危機プロジェクト(通称『まなキキ』)」は、そのような状況に置かれた子どもたちをサポートするために津田塾大学の学生を中心に立ち上げられました。
「まなキキ」のサイトでは、学びに意欲のある児童・生徒たち、さらに障害や事情があって学びにくい子どもたちも、好奇心をもって自主的に学べるよう、役立つ情報を発信しています。
04
Archive-Based Research on Women Role Models
津田アーカイブを用いた
多様で先進的な
女性ロールモデル研究
研究目的
本学がこれまでに構築してきた「女性の社会貢献」の実績を踏まえ、多様で先進的な活動実績のある本学卒業生・関係者を対象として、関連する史資料を収集・整理して「津田アーカイブ」を構築します。「変革を担う女性」のロールモデルを提示することで、次世代を担う女性リーダーの育成に役立てるとともに、実社会における女性の地位向上や、社会的マイノリティの活躍への支援につなげていきます。
研究内容
本学では1981年に「津田梅子資料室」を設置し、2000年には「史料室」の機能の更なる充実を目指して整備を行いました。創立者津田梅子およびその周辺の人物や事項に関する史料や、本学の歴史および教職員・卒業生を含む本学関係者の資料を収集・整理を行い、学内外の研究者へ情報を提供してきたほか、2010年からは本資料室が編纂したデジタルアーカイブを通じて、広く情報を公開してきました。
本プロジェクトでは、津田梅子資料室の実績を生かしながら、新たに、さまざまな分野で時代を牽引してきた本学の卒業生や本学関係者にインタビューをおこない、その記録をデータベースとして蓄積し、「津田アーカイブ」の構築を目指します。「津田アーカイブ」は、DCfILが取り組む多数のプロジェクトの架け橋として位置づけられます。
期待される成果
- DCfILが取り組む多数のプロジェクトの架け橋となる「津田アーカイブ」を構築
- 複雑化した現代社会において、時代を牽引し、変革を担い得る女性リーダーの育成
05
Development of an Integrated Education and
Research Program of Computational Social Science
from a Global Perspective
グローバルな計算社会科学的視点
による社会科学と情報学の
融合教育・研究プログラムの開発
研究目的
社会のダイバーシティを推進するために女性によるインクルーシブなリーダーシップの発揮が必要とされるのは、“STEM(科学・技術・工学・数学)”分野を基礎として社会と連携する領域と言われます。世界中でデータサイエンティストの人材不足が起こっていますが、とりわけ2018年時点での世界におけるAI分野の専門職に従事する女性割合は22%にとどまっており、ダイバーシティの推進が最も求められている分野の1つとなっています。こうした背景のもとで、社会的課題現場の利害関係者と適切なコミュニケーションをとりつつ、データ解析プロジェクトを推進する役割を担える女性人材を育成する効果的なプログラムを開発することが目的です。
研究内容
自治体等が公開しているオープンデータやソーシャルメディア上に共有された大量のデータなどを含むソーシャル・ビッグデータの流通と蓄積は、従来の社会科学分野に対する情報科学分野からのアプローチが可能となった今、新たな学術分野・計算社会科学(Computational Social Science)として注目されています。本研究では、情報科学分野からのアプローチとして注目されている計算社会科学(Computational Social Science)的視点により、教育・研究プログラムの開発を行います。
社会課題を対象とする研究環境や研究成果を教材とする教育環境を継続的に構築していくためには、都市と地方、国内と国外における研究現場の確保が極めて重要となります。今後、同様の問題意識を共有する研究教育機関とのネットワーキングを確立していきます。
2019年度には、「AIの活用により、持続可能な日本の未来に向けた政策提言」について研究を実施している日立京大ラボをはじめとし、国内外の大学の事例について調査を行います。
期待される成果
- データ解析プロジェクトを推進する役割を担える女性人材の輩出
- “STEM(科学・技術・工学・数学)”分野における研究教育機関とのネットワーキングの確立
06
Enhancing Student Learning
through Analyzing Social and Political Diversity
in Tokyo Metropolitan Assembly Members
東京都議会議員の
政治的態度と多様性の分析を
通した実践的教育
研究目的
津田塾大学では女性をはじめ、マイノリティとされてきた層に着目し、ダイバーシティ研究の拠点となることを目指してきました。その経緯を踏まえ、本プロジェクトの最終目的は「都議会議員のデータバンクと言えば津田塾大学」と評される存在になること。実現に向けて、女性知事を迎えた東京都議会を研究テーマとし、議員の政治的態度をデータ化する学術的意義と、その公開を通じた社会的意義、実際の政治を題材として教育を行う教育的意義のもと研究を行っていきます。
研究内容
女性知事を迎えた東京都議会において構成員である議員の属性や態度の分析を通して多様性を可視化します。またその多様性は政策としてアウトプットにつながっているのか、背景要因について分析を行います。具体的には、既に行われている地方議会の会議録や政治資金など公開データをアーカイブ化する試みとは異なり、年1回もしくは都議会議員選挙実施時は前後に2回、定期的にサーベイを実施し、時系列データとして議員の政治的態度を可視化。分析可能なデータバンクを構築していきます。また、本研究は多様性という観点から、女性知事と議員の関係や女性議員、島部、1人区選出議員など、マイノリティの要素に注目。そして研究期間中に調査を確立し知名度を向上させ、以後は知名度に基づき調査協力を得て継続させていきます。
期待される成果
- 議員へのサーベイ、インタビュー、データバンクの構築、そしてデータ分析に学生を主体的に参加させることによって、学生は実際の政治を題材にデータサイエンスを用いること。
- 津田塾大学で都議会議員データバンク作成に関わったことが学生のキャリア上のアピールポイントとなる。
- 政治エリートにおける多様性の分析を通して自らの立ち位置を把握し、どのように生きていくかのヒントとなる。
具体的な取り組み
「東京都議会議員の政治的態度と行動調査」
津田塾大学総合政策学部・中條2年セミナーでは、「東京都議会議員の政治的態度と行動調査」を継続的に実施しています。本調査の目的は、東京都議会議員たちが、どのような政治意識や態度をもち、それが何によって影響され、また東京都の決定にどのような影響を与えるのかを分析することにあります。
詳しい調査結果や成果記録は下記リンクよりご参照ください。
07
Reasonable Accommodation of Reading Accessibility:
Empirical Research of Literacy
in Comparison to Braille and Sign Language
主体的学びを支える情報の
アクセシビリティを考える
-マイノリティのリテラシーの実証研究-
研究目的
本研究では、人々の“理解”を保障する情報アクセシビリティの実態と課題の把握を目的としています。「主体的な学び」にあたって情報アクセシビリティの保証は不可欠です。本プロジェクトを通し、これまで着目されてこなかった点字や手話など伝達形態の違いによる「伝わりやすさ」、「伝わりにくさ」の差に焦点をあて、個別的かつ包括的な実践を担うインクルーシブ・リーダーシップの育成を目指します。
研究内容
当事者を対象とした調査やインタビューを実施。主に点字や手話などの伝達形態と、情報の種類が、本人の理解とどのように関わっているのか、比較、検討します。ここでは、障害種別や伝達形態の違いを比較検証項目としますが、さらに伝達されるコンテンツの内容—日常的に使用されるような生活言語と、アカデミックな領域で用いられる学術言語—に依存して生じうる違いも比較検証の対象に含めます。2019年度は以下の3点に注力していきます。
- ①点字・手話ユーザーを対象とした調査を通じて、点字・手話ユーザーがどのように“読み”の経験を積んでいるのかについて記述すること
- ②「理解」を支える読解の捉え方や、その概念の整理と測定方法の開発の推進
- ③点字・手話・音声・書字日本語など伝達形態の違いによる「わかりやすさ」「わかりにくさ」の把握のための調査(Reasonable Accommodation of Reading Accessibility: RARA)
さらに、今後は活動報告や調査結果報告などのイベント開催や、障害理解を促す機会として「RARAワークショップ」の実施を予定しています。また、地域の特別支援学校や一般校とも交流を図り、ネットワークを構築するだけでなく日常生活や教育実践の現場に還元していくことができる成果の蓄積を目指します。
期待される成果
- 障害特性や伝達形態、伝達内容によって提示される文章理解に凸凹(伝わりやすい点と伝わりにくい点)が生じうるのか、実態を把握し、そのうえでの情報のアクセシビリティの留意点の整理
- 「RARAワークショップ」を通して、参加者に手話や点字など伝達形態の特徴を伝え、障害理解を促す機会の提供
- 地域の特別支援学校や一般校とも交流を図り、ネットワークの構築
- 日常生活や教育実践の現場に還元していくことができるような成果の蓄積
08
Inclusive AI: A Preliminary Study for Social Inclusion
Using Artificial Intelligence
インクルージョンにおける
AI(人工知能)の活用可能性
研究目的
今後確実に求められる「インクルージョン領域におけるAI(人工知能)の活用」を目的としています。海外では「手話のAI活用」に向けた大規模な開発も行われていますが、国内ではまだ十分研究されていません。したがって本研究では、土台となっている『③社会的インクルージョン研究基盤形成』を元に、『②データ活用型政策研究と実践的教育プログラム開発』と横断的に協力し、福祉・社会領域でのAI活用を技術面で支えていくことを狙いとした研究を行います。更に日本でも新たに始まったばかりの「インクルージョンAI研究」の基盤として、本学にこの領域を学術的に議論する場を形成することも目的としています。
研究内容
「インクルージョン領域におけるAI(人工知能)の活用」は、障害当事者や高齢者などをはじめとする社会的マイノリティの主体性形成に大きく寄与し、「マイノリティのリーダーシップ」の基盤形成に決定的な役割を果たすことが期待できます。具体的には、発達障害や学習障害を抱える障害者が「AIを活用して知識を整理する」、「認知症の人がAIから記憶のアシストを受ける」といった活用が構想されます。
研究においては、AI活用の実践面での応用、その十分なリスク検討など、本分野の研究例を情報工学面および福祉社会学面から整理するフォロー調査を実施しつつ「インクルーシブ・リーダーシップ」の育成に貢献しうる先行事例を抽出していきます。
インクルージョンAIの開発においては「ビッグデータ研究」とは異なり、「ユーザーの個別性・多様性」が重要となります。したがって、上記のフォロー調査を土台としつつ、「インクルーシブなAIのための情報分析」という観点から、マイノリティのリーダーシップに向けた活用を検討していきます。
上記に加えて、本プログラムの核として最前線で活躍するインクルージョン分野の研究者やAI開発者を招き講演会や研究会を行う「インクルーシブAI研究会」の設置も行います。3ヶ月に1回程度、講演会やディスカッションを実施してネットワークを強め、社会的インクルージョンとAIを学術的に議論する空間の形成を進めていきます。
期待される成果
- 「インクルーシブAI研究会」を地域・メディアにも公開することによる地域貢献・連携
- AIトレンドをキャッチアップできる場の形成
- 本学が日本において本分野でイニシアチブを取り、研究を主導するきっかけづくりになること
09
Inter-disciplinary Project for Early Career Researchers
クロスオーバー・
若手リーダーシップ育成事業
研究目的
研究ブランディング事業のなかで、「若手のインクルーシブ・リーダーシップ力の育成」そのものを直接支援する唯一の事業です。一定の基準(※)を満たす若手研究者を対象に、センター直轄の担当教員が指導や経済的なサポートをすることで、各研究課程を継続的に支援します。また「4つのプロジェクトを架橋する」ようなアイデアを若手研究者から募集し、目に見える連携の契機を形成します。そして「人材育成=学内からの研究人材の育成」に寄与できる企画を立てることを目的とします。
- 指導教員の推薦を得た、助教や研究所の研究員、大学院生(博士課程在籍ないしは進学予定)で、学振PD・DC応募に該当する若手研究者を対象
研究内容
具体的には以下の流れで研究を進めていきます。
- ①以下の条件で若手研究者からアイデアを募集
- 研究ブランディングの4つのテーマを、横断的につなぐテーマであること
- 未だ明示的に横断的ではなくても、どれか一つに合致し、将来的にクロスオーバーさせたい意向をもっていること
- ②アイデアを持ってきた応募者が、「アイデアソン」型のワークショップを実施
- アイデアを持ちより、2〜3回程度のディスカッションを通してアイデアのブラッシュアップを行います。
- アイデアに深く関係するプロジェクト・リーダー数名や、応募した院生の指導教員がさらに指導をおこない、共同研究として研究企画を作成します。
- ③研究費の配分と実施
- 仕上がった研究企画をセンター委員会などで審議し、採択されたものに、研究ブランディング研究費のうち未採択分としてストックされた予算から研究費を配分します。
- 執行責任者としてセンター長、社会的インクルージョン研究基盤形成リーダーおよびその他、採択企画に近い領域のプロジェクト・リーダーや指導教員がサポートしながら企画を実行します。
以上の内容をポータルサイトなどを通じて積極的に広報していきます。
期待される成果
- 外部に公開し、地域の方など外部からもコメントをいただいて研究力の成長に活かす
- 成果の公表や、本学としての若手研究者支援を活かす機会とする
- ポータルサイトのコンテンツの一つとして、若手研究者の育成の進捗過程そのものを、本センターのポータルサイトに積極的に掲載することが研究広報支援となる