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EventREPORT
津田アーカイブ事業「卒業生オーラルヒストリー」内海 房子様にお話をお伺いしました
本学がこれまでに構築してきた「女性の社会貢献」の実績を踏まえ、多様で先進的な活動実績のある本学卒業生・関係者を対象として、関連する史資料を収集・整理の上「津田アーカイブ」として蓄積する取り込みを行っています。今回、本学の同窓会会長 内海 房子様にお話をお伺いし、新たなオーラルヒストリー動画を追加しました(デジタルアーカイブ オーラルヒストリーについては、こちらをご覧ください)。
髙橋学長・大類 久恵先生(津田梅子資料室長)・北村 文先生とともに、6名の学生がお話をお伺いしました。その内のお二方のレポートを以下の通りご紹介します。
● 文学研究科 Kさん
髙橋学長・大類 久恵先生(津田梅子資料室長)・北村 文先生とともに、6名の学生がお話をお伺いしました。その内のお二方のレポートを以下の通りご紹介します。
● 文学研究科 Kさん
内海さんのお話をうかがいながら、津田塾での学びがその後のキャリアをどれほど支えていたのかを実感しました。中でも、津田塾で初めてコンピュータに触れた経験が、その後の仕事の原点になっていたことが強く印象に残りました。数学で培った論理的思考に加え、未知の機械を自分の手で動かしながら理解していく-- —そのとき芽生えた好奇心こそが、内海さんの職業人生を長く支える力になっていたのだと思います。
内海さんが大学を卒業された当時、理系の女性が企業で働くことはまだ珍しく、女性社員は職場全体のほんの一部でした。仕事の内容も、理系女性はプログラミング、文系女性は翻訳と分けられ、「女性がお茶を出す」ことも当然のように続いていたそうです。そうした慣習の中で、内海さんは「これからは自分で淹れましょう」と提案し、給茶機を置いて仕組みを変えたといいます。現実的な行動によって、少しずつ職場の空気を動かしていく姿に、変化を恐れない実践力を感じました。
十年間昇進の機会が得られず、「進歩のない十年」と振り返りながらも、「仕事が面白かったから続けられた」と穏やかに語る言葉には重みがありました。津田塾で出会ったコンピュータへの好奇心が、どんな状況でも知的興味を失わずに働き続ける支えになっていたのだと思います。同期の女性たちが次々と職場を去る中で、最後まで残った経験から、「誰もが長く働き続けられるようにしたい」という思いが生まれたと話されていました。その思いがやがて人事部での仕事につながり、女性社員の活躍を支える制度づくりへと発展していきます。
人事の仕事を通じて「環境を変える側」へと立場を移し、さらに教育分野へと関心を広げられた内海さんは、後に国立女性教育会館の理事を務められました。津田塾で身につけた考え方や技術への向き合い方が企業での仕事に生かされ、そこで得た経験が、今度は人を育てる仕事へとつながっていったことが、語りの流れから自然に伝わってきました。
お話の最後に挙げられた三つの言葉——Chance(機会を逃さない)/Challenge(勇気をもって挑戦する)/Change(変化を恐れない)——は、単なるメッセージではなく、実際の行動を通して積み重ねてこられた実感のこもった言葉でした。津田塾での一つの「出会い」が、知への興味を職業の力へと変え、制度を動かし、教育へとつながっていった。その歩みを通して、学ぶことが社会を変える確かな力になりうることを教えられました。
● 理学研究科 Yさん
内海様のお話を通して、どのような環境に置かれても仕事の面白さを見出し、地道な努力を積み重ねていく姿勢の尊さを強く感じました。学生時代にコンピューターの魅力に気付き、プログラミングの楽しさに出会われた内海様は、「やりたいこと」を自ら言葉にして行動し続けてこられました。一方で、女性であるという理由から責任ある仕事を任されにくく、同じ業務が長く続いたというお話からは、当時の厳しい社会状況が伝わってきました。それでも仕事を辞めなかった理由として「仕事が変わらなかったけれど面白かった」と語られた言葉には、与えられた仕事に真摯に向き合い、前向きに受け止めてきた内海様の強さを感じました。また、お茶汲みの慣習に疑問を持ち、廃止に向けて行動されたことや、子育てと仕事を両立しながら働かれていたエピソードからは、自身だけでなく周囲や次の世代のために環境をより良くしようとする責任感がうかがえます。技術職から人事部人事課長へと立場を変え、「女性社員が働く環境を改善してほしい」という期待を背負われたことは、これまでの努力と誠実な姿勢が評価された結果だと感じました。
内海様の歩みは、状況がすぐに変わらなくとも、仕事への興味と誠実さを失わずに続けることが、やがて道を切り拓いていくのだという大切な示唆を与えてくださいました。内海様の姿から、今を生きる私たちもまた、自分の選んだ道に責任と誇りを持って向き合い続けることの意義を学びました。







